■マコの傷跡■

■マコの傷跡■

chapter 41



~ chapter 41 “出会い” ~ 



好きでもない人に頼って甘えてしまわないようにしばらく彼氏は作らない、
そう決めて半年が経った頃、男友達に誘われてスノーボードへ行った。
何人か男の人達が来ていて、数人は初めて会う人で
その数人のグループの中に女は私しか居なかった。

そのグループでその後もちょくちょく遊び、バーベキューをやったりした。
私はメンバーの誰かと特別仲がいいという事もなく、誰かと2人で会う事もなかった。

ある日、みんなでバーベキューをし、片付けをしていた時、
男友達が「悪いけどちょっと乗せさせて」と言ってゴミを1人の人の車に積んだ。
車数台で移動していたので だいたい集合した人の家で再合流し、
ゴミの整理や清算をして個々に帰るのがいつものパターンだったけれど
その日は、ゴミを積ませてもらった人は用事があるから途中で帰ると言っていたらしい。
途中で分岐して帰っていった人の車にゴミを積んだままだった、と気付いて
私が「ゴミ、彼に押し付けちゃったね」と男友達に言うと、彼の友達なのに
「あぁ、いいのいいの。最初からそのつもりでヤツの車に積んだんだ」と笑って言った。
それがなんだかすごく頭に来て、帰ってから先に帰った彼に電話をした。
「ゴミ、持って行かせちゃって、ごめんね」
彼は笑って「あぁ、途中で あっ、やられた~と思ったけどなー。捨てとくよー」と言う。
全く気にしてないようだった。
でも、分別のしていない大量のゴミを一人で捨てるのは結構大変なはずだ。
「私、前に働いてたスタンドで分別してないゴミも捨ててもらえるから私が捨てようか?」
「ほんと?それ助かるなぁ。缶も生ゴミも一緒くただもんなー」
「じゃぁ、今から取りに行くね。」

彼は車の整備士をしていて、最近車の調子が悪かった私は彼に症状を話したりしていた。
ゴミを取りに行ったついでに車の調子の悪い部分を見てもらうと修理が必要だと言う。
でも彼が「やってあげるよ」と言ってくれたのでお願いすることにした。
「今日は遅いから、また日を改めて」
そんな事から、彼とは頻繁に連絡を取るようになって行った。

意思の弱い私は仲良くなるとすぐに甘えたくなる。
彼は友達の友達で、一緒に遊ぶグループの1人だ。
おかしな事になったら、もうみんなで遊べなくなってしまう。
そう思った私は何気ない会話の中で彼にも「今は彼氏を作らないつもりなんだ」という話をしていた。
多分、この時すでに彼に惹かれて行く自分が見えていたから予防線を張ったつもりだったのだ。
自分を自分でセーブ出来ないからといって、彼のほうに予防線を張った私は
その後もどんどん彼に惹かれて行く自分を止めようと必死だった。

また同じ事の繰り返しをするつもり?
決めた事なのに、すぐそうやってふらふらする。
違う。好きなんじゃない。寂しいからって誰かに甘えたいだけなんだよ。
今までもそうだったでしょう・・・。



◆chapter 41について(日記) へ

◆chapter 42 へ


© Rakuten Group, Inc.